第5回サポーターズミーティング 開催レポート

REPORT

川崎医科大学附属病院
患者診療支援センター
武内宏憲 先生
倉敷リハビリテーション病院
総合相談・地域支援部
吉田直樹 先生

転院の必要性について皆で意見交換

2016年10月21日、対話型企画「サポーターズミーティング」第5回を開催しました。参加対象はブロンズクラス以上に認定されているサポーターで、構成はミニレクチャーとグループ討議(ファシリテーターとして今回は倉敷MSWネットワーク会議から医療ソーシャルワーカー(以下MSW)と、プロジェクト事務局スタッフが加わる)としています。

第5回のテーマは「転院」で、倉敷MSWネットワーク会議から川崎医科大学附属病院 患者診療支援センター 武内 宏憲 先生と倉敷リハビリテーション病院 総合相談・地域支援部 吉田直樹 先生(共にMSW)が「急性期病院・回復期病院における地域連携医療と入退院支援」と題し、ストーリー仕立てでお話ししました。

展開として、69歳男性が前夜から身体に異変を感じ様子をみていましたが、翌夕方に転倒した際、起き上がれなくなったため、かかりつけ医を受診しました。身体所見から「脳梗塞の疑い」と診断され急性期病院へ救急搬送、詳しい検査の結果脳梗塞と診断され保存的加療の方針で入院となりました。その後、回復期リハビリ病院へ転院しご自宅に帰られるという流れでした。

武内氏からは、MSWの説明と、急性期病院の視点から地域連携パス(各医療機関での治療スケジュールが記載され、医師同士の情報共有や患者さん自身も治療計画が確認できる)や、退院支援計画について説明され、急性期病院から回復期病院へ転院する際の、医療機関同士の連携や流れについてお話しいただきました。

吉田氏からは、患者さんを入院前の生活に極力近づけるための支援や、病院からご自宅での生活まで「切れ目のない」医療・看護・介護・福祉サービスを提供できるよう、予測される問題についての確認や多職種間の情報共有を行う退院前調整会議(カンファレンス)についてお話いただきました。
最後に「皆さんの身近に医療ソーシャルワーカーはいます。何か心配事、疑問があればお気軽にご相談下さい」と呼びかけられました。

各グループで自己紹介やクイズで会場が和んだ後、グループ討議の議題「①なぜ、転院することが必要なのでしょうか」「②転院にはどんなメリットがあるでしょうか」「③サポーターとして何ができるか考えてみましょう」について、意見交換が行われ、次のような意見があがりました。

議題①
「機能回復のため、リハビリ病院へ転院してしっかりリハビリをしたほうがよいが、患者自身がしっかりリハビリする気持ちがないと転院してもだめだと思う。前向きな気持ちが大切」
議題②
「リハビリなど専門的な治療ができる」「自宅近くの病院に入院できると家族の負担が軽減される」
議題③
「転院などで疑問があったら病院にMSWという人たちがいて相談できることが分かった。これはぜひ他の人に教えてあげたい」「転院はたらいまわしのイメージがあった。転院の必要性を理解できていない人が多いため、周囲に対して働きかけていく必要がある」

その他、MSWの関わり方について、「特にお年寄りは、大病院から変わりたがらない。出された、変わらされたというイメージがあり落ち込んでしまう。そういうときこそMSWに介入してもらい話をしてほしい」や「転院理由が理解できれば、治療に対するモチベーションも上がる気がする」という意見もありました。

アンケートより、ブロンズサポーターからは「MSWのお仕事がよく分かった。自宅近くの方々にも教えてあげたい」「知らない人たちがいる場合、知らせてあげたい」などの声があり、ゴールドサポーターからは「MSWが入って下さり、上手に話を進めていただき、意見交換ができてよかった」「地域の方にMSWの立場をよく知って貰いたい」など、情報共有した内容を地域へ広めたいというお言葉を多くいただきました。